Review_Dancing Mountain House インドネシア建築

まえから仲良くしてもらっているBudi Pradonoさんの代表作に泊まってきた。

Budiさんとは、去年バリであったスミニャックデザインウィークの際、少し話したのがきっかけだ。レクチャーを聞いた際、なんだかつかみどころのない作風だと思ったので、一体なにをコンセプトにしているのかと伺ったら、フェノメナだとおっしゃっていた。プロジェクトの内容や敷地ごとにそれぞれ考えることを意識していて、Budiといえばこれ、という風にはならないようにしているということだった。偏らないというのはなかなか難しいはずなのだが、今度会った時はどうやって設計を進めているのかきいてみよう。
また彼は、私の先輩藤村龍至さんのベラルーヘ時代の同級生で、藤村さんがジャカルタでレクチャーされたときに一緒にBudiさんの事務所見学をさせてもらったりした。その時のBintaro Design Districtについては、また時間があるときにまた書きたい。

ところで私は、あまりバンブー建築が好きではない。特に、全てバンブーでできているものや、平屋ではないものは、どこかに無理を感じることが多い。結構自由度が高い材料なので、エクストリームに陥りがちなのかなあ、と思う。また、線がやたらと多くなる割に鉄骨よりも太いので、野暮ったくなりがちという欠点もある。
だが、もちろんこれは竹で作るのが正解だなあと思う建物もある。竹材というのは、弾性が強く、長くても折れない。なので、背が高くて大きな空間を作るのにはとても向いていると思う。木材で作るのが難しいものが、作れる。

Dancing Mountain Houseは正面から見るとバンブー建築に見えるが、混構造である。メインのベッドルームや、奥のオーナーエリアの壁をコンクリート・レンガ・で作っていて、屋根を全てバンブーで作っているという感じだ。リビングからキッチンまでの細長い空間は、屋根の高さが3.5から4mというところだろうか。とても開放感がある。
バンブーという自然素材ゆえ、いろいろなところに隙間があるので、音はもれてしまうし、動物が這い回ってしまうが、アジアの建物はそんな感じで良いいなあと思った。ただ、ジョイントは普通に鉄プレートだったりするので、そこの耐久性が少しいつも気になる。

リビングルームの窓面はかなり大きい。インドネシアは本当に断熱性能なんて関係ないので、鉄でつくった簡易な窓サッシを使えるのが良い。サッシの既製品なんていうものはない世界の建築。

庇と周りの木々に直射日光が制御され、また屋根にもしっかり断熱を入れているので、天井ははっていないが、熱はこもらない。赤道が近く、太陽が真上を通るこのあたりの国は、とにかく日差しがきつい。インドネシアではどうやって日差しを防ぐかというのがいつも大きなテーマだ。通気性も大事なのだが、通気性を重視するあまり、窓を大きくしてしまうと、内部に熱がこもってしまう場合もある。
サラティガの気温は一年中20度くらいなので、空調が全く必要ない街だ。

ベッドルームは小さな天窓があり、朝起きるとき綺麗でいい。ガラス張りの水回りとなっていて、一部の屋根を透明にしているので光が入ってきている。外が見える窓というものがない部屋にも関わらず、水回りがなんとなく外のような雰囲気があるので閉塞感がない。傾斜地で建物が半分埋まっていて窓があけられなかったのでそうしたのだろうが、結果防犯性も高く安心感がある。結構森の中にぽつりとあるので、防犯は大事だろう。バリのリゾートでは、外部にバスルームがあることも多く、その感覚と似ている。床もバンブーを広げたやつで作っててかわいい。

また敷地内にミニライブラリーがあり、地域の人がこれるようにとしている。今後ヨガテラスとカフェを作りたいと言っていたので、また訪れるのが楽しみである。

サラティガという年中すずしい街にぴったりな開放的な家。Airbnbにあります。ぜひ。あと、C3の表紙もかざってます。

May 2019

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