アンクリンガンが日本へ?

前回の記事で、ジョグジャカルタビエンナーレのメイン会場について触れた。
今回は、今年のジョグジャカルタビエンナーレに参加する日本人アーティストの北澤潤さんのプロジェクトを紹介したい。

今回のジョグジャカルタビエンナーレの会場の一つであるタマン・ブダヤ前にアンクリンガンを出す北澤さん。

アンクリンガンってなに?

アンクリンガンはジョグジャ名物の屋台の形式で、15センチくらいの奥行のカウンターが四周をぐるりと回っているのが特徴だ。 店主がいる方のカウンターは飲み物を作ったりに使われ、3辺を客が取り囲む。一般的な屋台は、食べ物を調理する機能がメインなことに比べ、アンクリンガンは人の居場所だ。日本のおでん屋台とは似ているかもしれない。

お湯を沸かすコンロがついていて、飲み物を作る。 食事は作り置きのみで、ナシクチンとサテ、ゴレンガン等。 それがアンクリンガンのスタンダードだ。(ナシクチンって、猫ご飯って意味なのだけど、猫が食べるくらい小さいっていう意味で、感覚的には握られていないおにぎり)
私個人的には時間が無くてちゃちゃっとご飯を食べたいときに利用するが、だらだら話しながらゆっくりして、知り合いに会ったら世間話をするようなオジサンたちの社交場だったりもする。片足を立てて行儀悪く座っていると、あんたアンクリンガンのおじさんみたいになってるよ!とか言われるのも思い出す。

NOWHERE OASIS

今回のプロジェクトでは、アンクリンガンを池袋駅周辺にも出現させるそうだ。
日本在住インドネシア人の間でかなり話題になっているという話。東京近郊の方はぜひ訪れて!

フェステイバル/トーキョー19
NOWHERE OASIS《ノーウェア・オアシス 》11月1日(金)〜11月10日(日)
各日15:00~19:00
東京芸術劇場劇場前広場○池袋西口周辺に複数の「アンクリンガン」が出現します。劇場前広場に出現するアンクリンガンがステーションとなり、その他のアンクリンガンの現在地を確認できます。まずは東京芸術劇場へ!


夕方、ジョグジャカルタの街なかに幕で覆われた路上屋台「アンクリンガン」がぽつぽつと現れる。その内部での人びとの会話や体づかいは互いに近しく、同時に自由で、時間がゆるやかに流れる。また外部からは幕によって中がほどよく隠れていることで、路上にありながらも開放的すぎない。アンクリンガンは、可視/不可視、公/私といった両面性を併せ持つことで、都市の公共性を確保する現場である。NOWHERE OASISは、東京出身で現在インドネシア・ジョグジャカルタを拠点に活動している美術家の北澤潤が、2つの国と社会を行き来する中で感じた「行き場のなさ」に対する違和感と、このアンクリンガンへのまなざしを重ね合わせることから構想したプロジェクトである。
まず、ジョグジャカルタで作られた複数のアンクリンガンが、東京・池袋の路上に出現する。東京芸術劇場の劇場前広場をベースにしながら池袋駅周辺の幾つかのポイントを巡りつづける。日本で暮らすインドネシアの人びとと共に運営されるアンクリンガンは、池袋の街と行き交う人のどんな反応を巻き起こしていくのだろうか。
そして、東京でのプロジェクトが生み出した光景は、ジョグジャカルタのアンクリンガンへと還元される。街のあちこちにあるアンクリンガンが一斉に、東京の記憶を纏っていくことでジョグジャカルタの日常を異化させていくことを試みる。
NOWHERE OASISは、同じアジアの2 つの都市の路上を舞台に、それぞれの文脈に接続しながら同時にそのどちらにも属さない場をつくりだし、探し、巡る。どこにもない(nowhere)が、たしかにいまここ (now here) にある「オアシス」を目指して。
(北澤さんfacebookより)

上記のコンセプト文の通り、日本の会期を挟んで、ジョグジャカルタ→東京→ジョグジャカルタという会期で開催される。今月末のジョグジャカルタの会期では、テントに印刷されるのは東京の写真になるそうだ。楽しみ。

より詳しい詳細は北澤さんのインタビュー記事(以下リンク)でチェックしてほしい。


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