インドネシアの建築について説明しよう!と思ったのですが、建築と一口に言っても、伝統的な建物なのか、現代の建築家の作品集なのか、はたまた都市についてなのか、色々な切り口があるので、まずそのあたりの下敷きを作ろうではないか。ということで、以下のジャンルに分けてわたしなりのおすすめ書籍リストを作ってみました。
(書籍表紙の写真が厳密的には著作権にふれるそうなので、Amazon引用で代用しようと思います。なので、無いものは写真などはないですが、インドネシア語書籍はだいたいTokopediaとかで出てきますので調べてくださいね)
以下のカテゴリに分けて書いていこうと思います。
A集落系、バナキュラー系(日本)
B集落系、バナキュラー系(インドネシア)
C現代都市の本
D建築作品系
E教科書的な本
Fその他お勧め本
それではいってみましょうー👍
A.集落、バナキュラー系
① 集落が育てる設計図 (LIXIL BOOKLET)
LIXIL出版
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東京大学生産技術研究所の藤井明教授の本で、アフリカとインドネシアの集落について、写真と図を用いて解説しているので、建築専門外の方々にも楽しく読んでもらえる本。
基本的に、日本では高度成長期(64年オリンピックの頃)に伝統的な建物がどんどんと壊されていくことに危機感を持った建築家たちが、日本国内の集落でフィールドワークをはじめ、その後、原広司さん、 藤井明 さん、畑聰一さんなどによって、海外の集落の調査が進められたという流れ。
②神々と生きる村王宮の都市―バリとジャワの集住の構造
学芸出版社
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大阪大学の鳴海邦碩名誉教授による本。ガジャマダ大学のイカプトラ教授も執筆。バリアガの集落や、ジョグジャカルタの都市、そして一般庶民の暮らしについてなど、名著。
Kindle版もあるので、お勧め。
③路地研究
上田篤さん、田端修さんによる書籍。路地についての本なので、世界各国の話が書かれていて面白い。ジョグジャカルタのカンプンの部分を、 鳴海邦碩さんが書かれている。
④ the heart of austronesian houses
国立民族学博物館の佐藤浩司さんによるホームページ。実は、もはやこれだけでかなりの情報量なので、旅行行くときに読むのがおすすめ。
⑤カンポンの世界-ジャワの庶民住居史
⑥ 東南アジアの集落
⑦アジア都市建築史
PARCO出版局
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京都大学学術出版会 (2017-03-07)
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滋賀県立大学環境科学部教授の布野修司さんによる本。博士論文がインドネシアに関する論文で、東南アジアにとどまらず、イスラムやインドなど様々な集落や都市について研究されているが、上記の本が私なりのおすすめ。
⑧ 生きている住まい―東南アジア建築人類学
学芸出版社
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日本の本じゃないのですが、翻訳版もあるのでここに入れます。
こういった東南アジアの住まい系の本では一番有名な本ですね。言わずもがな。
B集落系、バナキュラー系(インドネシア・海外)
①Tropical Asian Style
Periplus Editions
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タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシアのVIllaの写真などが満載だが、くらくらするほど美しくて優雅。これが、本物、というようなインテリアがたくさん詰まっている本。
特にジャワのものは、こんなのどこにあるの?というくらい、見たこともないものだらけ。美しさに息を飲むので良い写真集。
②Architecture of Bali
Thames & Hudson
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バリの有名建築家Made Wijayaの本。図もかなり多く入っていて、勉強になる。
③Tropical Garden Design
Periplus Editions
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これも同じくMade Wijayaの本。タイトル通り、ガーデンについて書かれている。Baliのリゾートホテルといえばランドスケープがとても大事で、色々と工夫されて作られている。正直この本の写真たちでは良さは伝わりにくいのだが、写真集というよりもランドスケープアイディア集、辞書的な本として持っていると良い。
④Bali Style
Times Editions
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建築というよりもっと寄りの写真や、シーンの写真が多い写真集。細かい要素の紹介が多くて、バリの雰囲気がむんむんと伝わってくる本。壁とか、彫り物、インテリア、ガーデン、アート、ウパチャラ(儀式)・・・
⑤ARSITEKTUR TRADISIONAL TIONGHOA DAN PERKEMBANGAN KOTA
たまたまスラバヤで見つけたこの中華系のカンプンについての本。中華系のコミュニティが彼らのアイデンティティのために作っている本のシリーズのうちの建築についての部分という位置づけ(おそらく)。ちゃんと実測図もあって、とてもいい。
今度ジャワにある中華系集落を見に行きたいと思っていたので、丁度良くて購入。
⑥Retronesia
Equinox Publishing (Indonesia)
50年代、60年代のクラッシックな建物について紹介した本。どの建物も、モダンなのだけども少し装飾的で、かわいらしい。アールデコや、コロニアル様式の影響を感じさせる建物で、オランダ人建築家たちが建てている。
水平垂直ではない斜めのラインが多様されていたり、装飾も結構派手だ
⑦The Golden Lands
たまたま見つけた寺院に関する本。ミャンマー、ベトナム、カンボジア、タイ、ラオス、そしてインドネシアの寺院。ボロブドゥール遺跡とか、アンコールワットとか。
この本の特別なのは、色んな遺跡のアクソメ図が載っている!!なので、写真だけじゃなくてちゃんと建築的に東南アジアの仏教建築の勉強ができます。大好き。
⑧Indonesian Houses: Tradition and Transformtion in Vernacular Architecture
Koninklyk Instituut Voor Taal Land
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この本、日本ではめちゃくちゃ価格高騰しているので、見つけたら即買いしてください。
友達の本棚で見つけた本。めっちゃいい。
C現代都市の本
①Bandung Bahagia
バンドゥンのWali KotaであるRidwan Kamilさんが仕掛けている、バンドゥンの街に作られた新しいパブリックスペースなどについての本。 Ridwan Kamil さんはITBの建築学科を出ているので、そのバックグラウンドを生かしてかなり多くの新しい施設を作っている。
とてもきれいな施設ばかりだが、地元のおばちゃん連中が使えるような雰囲気ではないのが少し気がかりだ。実際に訪れて人々の様子を直に見てみたいと思っている。 Archinesiaと同じImaji Booksが出しています。
②SURABAYA INFLUX
この本は私もまだ手に入れていないのだが、スラバヤの都市について分析している本。詳しくは分かっていないのだが、日本の研究者が協力しているようだ。2017年に出た新しい本。めちゃくちゃほしい。誰か持ってないのかな。
D建築作品系
①ARCHINESIA
様々な建築系書籍を出しているIMAJI BOOKSによる雑誌ARCHINESIA。だが、半分くらい東南アジアの他国の建築が入っているのが特徴。日本でいう新建築のような雰囲気ではないかな(多分作品数が足りない?)
だが、話題になったインドネシア建築は必ず入っているので毎号買っている。英語インドネシア語で書かれているので、インドネシア語ができない人も読めます。
不満があるとすると、スケールのない図面が沢山入っているところ。スケールバーと方角記号が入ってないと、図面読みにくくてつらい。
②FIRMITAS
ABODAYによる彼らの作品集だが、普通の作品集とは違い、設計趣旨のみならず建築法規などについても書かれているので建築設計資料集成のような雰囲気もあり、とても分かりやすい。インドネシアで設計するとなったときに重宝しそうな本だ。
③Architectural Guide Indonesia
Dom Pub
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インドネシアの建築のガイドブック。だが、位置情報などを載せる都合上住宅建築はほとんど入っていないので、そこがネック。でもジャカルタの古いビルとかも載っていたりして、マスト。Archinesiaと同じImaji Booksが出しています。
E教科書的な本
①wastu citra
Y. B. Mangunwijaya、通称Romo Mangunの書いた書籍。Romo Mangunはインドネシア建築の父と呼ばれ、カリチョデという違法集落のために政府と交渉したり、ジョグジャ近辺に沢山あるキリスト教の教会建築でも有名。エッセイや小説を書いていた小説家としての顔もある。この本はインドネシアの建築学生はだいたい所持しているはず。
②Dasar-dasar arsutektur ekologis
このKanisiusの建築教科書シリーズは、大学でも使われているそうで、インドネシアの建築についての基本を知りたい場合は、揃えるのが良いだろう。
今回取り上げた本は、エコロジー建築の本なので、風通りをよくするにはどうすれば良いかといった話から、色々出ているのでおすすめ。
③ KETUKANGAN : KESADARAN MATERIAL
Archinesiaと同じImaji Booksが出している本だが、マテリアルに関して書いているので、おすすめ。
レンガとか竹とか、日本人だとまいちわからないじゃない?
Fその他お勧め本
①Kerry Hill: Crafting Modernism
Oscar Riera Ojeda Pub Ltd
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バリ島にAlila Manggisを作ったケリーヒルの作品集。2018年に死去したことも記憶に新しい。この作品集にはバリ島のものは載っていないが、他の作品も美しいので是非。
②Geoffrey Bawa: The Complete Works
Thames & Hudson (2002-11-01)
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バリ島には一応Villaの作品が残っているリゾートホテルの巨匠ジェフェリーバワの作品集。バリ島にあるものはちょっとよく分からない状態になっているので、時間が無ければ訪れなくて良いが、サヌールにあります。
私の 興味が偏っているのと、インドネシアって建築図書館みたいなのはも全く無く・・・コツコツ個人で集めているだけなので、抜けている部分がたくさんあると思います。こんな良い本あったよっていう情報、お寄せください!。
上記の本を全て見てみると、多分インドネシア建築を語れるくらいになると思います。結構色々な本があって、面白いですね。多分あとコロニアル系建築の書籍を追加しなければいけなさそうです。情報ゲット次第追加していきます。
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